カーロッタ・マウセン

プロフィール
種族 人間種族 (女)
人種 ヴァンパイア
信仰 キムラック教
出身地 キムラック市
誕生年 赤光帝17年
年齢 30歳 - はぐれ旅
53歳頃 - 新シリーズ
血液型 B型[1]
身長 160.5cm[1]
声優 田中敦子

カーロッタ・マウセンは、キムラック教会死の教師新シリーズではカーロッタ村の村長、ラポワント市議会議員。

愛称は「カール」。異名は「死の教主」。

概要編集

ブロンドの美女。表向きの肩書きは教師長。死の教師としてはクオ・ヴァディス・パテルの副官的な立場にある。クオ亡き後の次期首長候補でもあった。

経歴編集

キムラックの教師の家に生まれ、教師となるべくクオの下で修業を積む。死の教師として認められると最終拝謁女神と対面し、アイルマンカー結界が崩壊した後の世界の激変と再編にまつわる使命を与えられた。

サルアメッチェンが共謀して起こしたクーデターの際には、寝込みを襲撃したメッチェンを容易くあしらい、サルアたちを屋敷にかくまったラポワント・ソリュード教師長を反逆者と断定し、容赦なく処刑した。

形勢が変わって体制側の不利を見極めると、サルアと取り引きを行い、あっさりと反乱側に投降し、上官であるクオを売り渡す格好で自らの保身を図った。戦いの混乱に乗じてその場を離脱すると、クオを倒したサルアたちを待ち構え、これを破る。事件の収束後、教主ラモニロックから新たな死の教師の首長の任を拝命した。

その後編集

アイルマンカー結界と女神が消失し、キムラック市で蜂起が勃発すると、カーロッタはラモニロックと共にいち早く街を脱出し、キムラック難民を装ってアーバンラマに入都。外大陸開拓計画の開拓団に紛れ込み、第一次開拓隊(後に「カーロッタ派」と呼ばれる)の船で新大陸へと渡った。

原大陸開拓時代編集

新大陸に上陸するや、同行した開拓民を洗脳によって支配下に置いたカーロッタとラモニロックは、新大陸に第二のキムラック樹立を目論み、キムラック村(後のカーロッタ村)を建設した。ラモニロックの死後、カーロッタが速やかにその跡を継いだが、これを地位の簒奪と見た者からは「死の教主」と揶揄された。

オーフェン率いる「サルア派」開拓団が新大陸に上陸すると、カーロッタ派とサルア派は対立し、凄惨な抗争の火蓋が切られる。およそ半年間に渡る武力闘争を経て、最終的にカーロッタがオーフェンに屈し(オーフェンとカーロッタの間でお互いの拠点の不可侵協定を結んだ)、カーロッタ派はサルア派に吸収される形で合流した。この時、カーロッタは右腕にヴァンパイア症を発症しており、その進行を止めるために腕をクリーオウに切り落とされたという。[2]

それから数年後、「遅れてきた開拓者」が原大陸に入植を始めると、魔術士と元キムラック教徒の開拓民の間に新たな軋轢が生まれる。旧カーロッタ派を始めとする一部の先住開拓民は、後から現れた資本家や魔術士による支配をよしとせず、カーロッタを頭領に仰ぐ反資本家・反魔術士のレジスタンス勢力と化し、カーロッタ村がその本拠となった。

それらの事実は半ば公然の秘密として秘匿され、公の場で揶揄することを法律として禁じられている。建前上はカーロッタ村のオーナーとして扱われ、ラポワント市議会に参加する開拓民派議員でもあり、さらに神人対抗措置執行判定の投票権を与えられている。しかし、政治の表舞台に出てそれらの権限を振るう事はほとんどなく、公務の大半はゲイトフ・ビエンシャ等の側近に任せていた。

またカーロッタ村の彼女の私邸の地下には財宝が隠されていたが、キース・ロイヤルの隠し財宝との関係性は不明。ただし邸宅を完全に破壊して掘り返さないと発見不可能なように埋められており、偶然ではなくカーロッタ本人の意図的な仕業と考えられる。その事実は長く従っていたゲイトフでさえも知らされず、長らく真偽は不明なままとなっており、都市伝説と化していた。

新シリーズ編集

マヨール・マクレディが視察のために原大陸を訪れた際、カーロッタはプルートーを介してキエサルヒマ魔術士同盟と「魔王暗殺」に関する密約を結ぶ。またそれと平行して、キエサルヒマ大陸に残る元キムラック教徒を通じて貴族連盟の革命支援組織リベレーターと接触を図り、根回しを開始する。

3年後、シマス・ヴァンパイアの追放とほぼ同時期に、何の前触れもなく行方をくらます。理由は原大陸に女神が降臨する兆しを察知し、来るべき日に備えて準備するためであった。村を脱出した後は密かに用意していたキャンプ基地・天世界の門を拠点に、放逐し大陸各地に点在させていたヴァンパイア達を集結させる。既に政治的な地位は興味がなく、騎士団壊滅後にリベレーターが襲来した際にも一切その姿を見せず、カーロッタ村にいる側近にも足取りを悟らせていなかった。シマス追跡中のマジクと偶然再会し、人間社会すべてへの宣戦を布告する。

カーロッタは、リベレーターが起動させたアイルマンカー結界が消えた直後に因縁の地ローグタウンへ侵攻した。 壊滅災害をも克服し無限の力となりうる魔王術巨人化を得た人間種族は運命の三女神が象徴する終末の運命を否定し、世界への約束を違える[3]として、これを正そうと考えたのだった。

かつてない強度に巨人化が進行したシマスに、カーロッタは第二世界図塔を破壊して奪取したスウェーデンボリーを取り込ませ、魔王術による解消すら受け付けない世界物質となした。その後カーロッタは合成人間マルカジットとの戦闘で負傷、死亡するが、いかなる存在でも世界から切除できるベイジットの決断によってシマス自身に封じられたことでシマスは完全に破壊不能な、緩やかだが確実な滅びを世界に約束するものとなり、カーロッタの目論見は成就した。

人物編集

退廃的だが決して抜け目のないしたたかな性格の持ち主で、死の教師としての使命やキムラック教の教義よりも自己利益、ひいては女神から与えられた使命を優先する魔性。メッチェン曰く「黒豹のような地味さ」を持った女。基本的に直属の部下しか信用せず、ボンダインのような末端の幹部は冷遇する傾向にある。

最終拝謁の際に女神と交信し、世界の終末と再編に関わると思われる使命を与えられている。原大陸へ渡ったのもその使命のためと思われ、教主を連れて生かしておいたのもしかるべき使命のために簒奪するためと推察される。ヴァンパイア化を制限してきたのはあくまでも世界との約束を違えないためであり、巨人化そのものを忌避しているわけではない。

マジクの若い頃に複雑な因縁があり、一時期はカーロッタ派へ引き抜こうとした事もあった。彼のかつての恋人であるサファイア・エラガンの死に関しても密接に関わっているらしい。

技能編集

暗殺者としての戦闘技術はサルアメッチェンをはるかに凌駕しており、いかなる状況下でも常に自身の身を守る事が出来る。得意としているのは暗器術で、常に武器を隠し持つ。その技量は20年以上経た新シリーズでも健在で、戦術騎士団最強であるマジクを翻弄している。

クリーオウに切り落とされた腕は後に再生したが、いつごろから元通りになっていたのかは不明。リベレーター騒動で村を出てからは隠す必要もなくなり、普通に右腕を使っている。発現した巨人化能力か、女神から与えられた恩恵かは不明だが、知性を失った末期のヴァンパイアを統率する事ができる。

他の死の教師たちと比べ、これといった特筆すべき能力を持っているわけではないが、課された任務に失敗したことは一度たりとも無いという不気味な手腕を持つ。それゆえ、サルアはカーロッタをクオよりも厄介な存在と懸念していた。

カーロッタに対する唯一にして有効な手段は「取り引き」であり、オーフェンでさえ時折応じざるを得なかった。

関連人物編集

声優編集

脚注編集

  1. ^ a b エンサイクロペディア魔術士オーフェン
  2. ^ 本当は「殺してくれ」と願ったらしいが断られた模様。その時の決着も含めてもう一度クリーオウに会いたいといった風な事をケシオンにほのめかせていた。
  3. ^ 同時に、女神の脅威を招き、破滅を加速させることにも繋がるため

登場作品編集

最終更新: 2019年12月7日 (土) 22:26