キムラック事変

キムラック事変(キムラックじへん)とは、赤光帝47年キムラック市で起こったクーデターである。首謀者は死の教師サルア・ソリュードと同メッチェン・アミック

背景

キムラック教会は古くから極排他主義を通しており、純血の人間である証を示せない者は正統なキムラック教徒とは認められず、キムラック市神殿街からの徹底的な排除を受けていた。学びの壁を隔てたスラム同然の外輪街に住む多くの非正規信徒は、いつかは自分たちが正統なキムラック教徒として教会に認められ、神殿街への入門を許される日が来ることを信じて待ち続けていた。しかし、一向に変化が見られない状況の中で、外輪街には教会に対する不満が充満し、死の教師として街を出入りできるサルアやメッチェンは、殊にそれを強く感じていた。

計画

サルアとメッチェンは共謀し、キムラック教の教義を外部へ広く開放することを求め、教主ラモニロックに直訴を行うため、死の教師のトップで教会最高幹部であるクオ・ヴァディス・パテルの暗殺を計画した。しかし、教会側は彼らの叛意を早くから看破しており、サルアは「偉大なる心臓」村での背約者マクドガル暗殺の任務から戻った後、神殿地下の監禁牢に勾留され、拷問を受けた。

カミスンダ劇場の調査任務に就いていたメッチェンは、大陸トップクラスの魔術士暗殺技能者であるキリランシェロ(=オーフェン)と偶然に出会い、市街への潜入を手引きした。また、ほぼ同時期に天魔の魔女として知られる白魔術士アザリーも市内に潜伏していた。

オーフェンとアザリーはユグドラシル神殿詩聖の間」の前でクオ・バディス・パテルと決戦。クオは倒されたものの、彼が死の間際に放ったオーリオウルへの攻撃が、一時は女神の結界内への侵入を許す寸前の事態を呼び、その影響でユグドラシル神殿の半分が崩壊。抑えられていたクオの副官カーロッタ・マウセンはその混乱に乗じて逃亡した。

結果

死の教師ネイム・オンリーとクオ・ヴァディス・パテルが殉教。また、教師長のラポワント・ソリュードが反逆者を匿った罪で処刑された。陰謀を起こしたサルア、メッチェン、および彼らの造反に加担した元・死の教師オレイル・サリドンは、教会追放処分および重罪人として指名手配された。

サルアらの計画の一つであったクオの殺害はオーフェンによって果たされたものの、ラモニロックとカーロッタを取り逃がしたことでキムラック教の在り方を覆すには至らず、結果としてクーデターは失敗に終わった。

壊滅した死の教師は、カーロッタが後任の首長に置かれ、再編成された。しかし、このクーデターによって生じた亀裂を完全に修復する事は出来ず、教団崩壊をかろうじて食い止めるのが精一杯だった。アイルマンカー結界の崩壊によってついに限界に達し、キムラックは未曾有の大崩壊に突き進む事になる。

出典

最終更新: 2013年3月18日 (月) 14:20