牙の塔
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牙の塔(きばのとう)は、タフレム市郊外にある魔術士の養成機関。キエサルヒマ大陸における黒魔術士の総本山的存在である。
目次
概要
長い歴史を持つ「大陸黒魔術の最高峰」として知られる。最接近領初代領主アルフレド・マインスによって建立された戦術技巧所を前身とし、タフレム市の中心にそびえ立つ天人種族の遺跡、通称「世界図塔」の愛称である「牙の塔」が後に正式な校名として採用された。在籍者からは《塔》と省略して呼ばれることが多い。
タフレム市街から西へ数十キロを隔てた山の中に立地し、山道を徒歩で数時間、馬車なら2時間足らずの距離にある。学校は敷地全体が高い防壁によって囲まれ、入り口は正面にあるゲートの1つのみ。敷地の中心には本校舎と学生寮が建ち並び、その鼻先には訓練用の運動場が、敷地の四隅には監視のための「物見の塔」が備え付けられている。
本校舎は地上9階建ての高層建築で、外壁は頑強な巨大圧縮煉瓦によって固められている。校舎の裏手には学生寮が男女それぞれ2棟ずつ(A館、B館と呼ばれる)隣接して建っている。また敷地の裏には《塔》在籍者専用の共同墓地が用意されている。
元来《牙の塔》は城塞としても運用できるように設計されており、有事の際には速やかにタフレム全市民を《塔》へ収容し、堅牢な要塞へと姿を変える。このシステムのおかげで幾度もの街の崩壊から市民の命を守ることができたと言われている。
真に優れた魔術の素質を持つ者でなければ入学を認められず、また学生同士の生存競争も激しい。在籍者には《塔》の出身者であることを証す「ドラゴンの紋章」と呼ばれる銀製のペンダントが贈られ、魔術士の世界ではそれが一種のステータスとなっている。
《塔》で教師以上の役職に就くか、または著しく優秀な成績・業績を残す(15歳以上の年齢で年間の主席をとる、など)ことで「上級魔術士」の資格を得ることができる。稀に《塔》外の魔術士に対しても、多大な功績を挙げた者には同様の資格が与えられることもある。上級魔術士はその証となる黒のローブを着ることが許される。なお教師専用のローブには縁に銀の二重線が入っている。
《塔》内外の政治は「最高執行部」と呼ばれる幹部会が執り行っている。チャイルドマン・パウダーフィールドが教師として在籍していた頃は、彼が《塔》の実権を握っていたと噂されていた。
はぐれ旅
チャイルドマンの死後(書面上は行方不明と扱われている)、《塔》内の情勢は一転して不安定化し、最高執行部およびウオール・カーレン教室と、チャイルドマン教室を引き継いだフォルテ・パッキンガム教師補による《塔》の主導権争いが勃発している。ウオール教室解体後は一時安定を取り戻すも、今度はフォルテが貴族連盟の白魔術士に意識を破壊され、再び不安定な状態に陥った。
後日談
《十三使徒》解体に伴うプルートーの亡命と、聖域の戦い後に目を覚ましたフォルテにより、《塔》は対貴族連盟勢力の中心組織として再編成される。貴族連盟との数年に渡る交戦の末に和議を結び、停戦に至った。プルートーは戦後処理によって地位を剥奪されたが、フォルテがその地盤を引き継ぎ、執行部を掌握した。
校風
魔術士養成学校として長い歴史を背負っているためか、厳格で閉鎖的な環境となっている。成績の優劣で待遇や進路がほぼ決まってしまい、結果を出せれば努力次第でどこまでも上に昇れるが、成績の低いものは徹底的に冷遇されてしまう。魔術においては特に顕著であり、魔術の成績が低い者は《塔》における出世はほぼ絶望的と言っても過言ではない。
魔術の基礎教育が特に厳しい事でも知られ、目覚めた魔術を制御出来なかった事による事故の死亡率が最も高く、まともな親なら入学させる事をためらうと言われている。
フロア
各階層(フロア)はすべて同じ構造で、1つのフロアにつき数十の部屋が設けられている。玄関と昇降口を兼ねた出入り口は外から見ると石段を登った2階部分にあるが、《塔》内ではその出入り口のあるフロアが「1階」と呼ばれ、真の1階部分は「地下」と呼ばれている。
- 地下
- 地下倉庫。ほぼ廃品置場となっている。
- 1階
- 玄関、受付や事務・庶務室、食堂等。主に《塔》執行部の末端組織の部屋が集まる。
- 2階
- 主に物置や保管室が並ぶ倉庫階。保管されている様々な物品を害のある陽光から守るために窓が存在しない。3階で起こる振動や衝撃のクッション的な役割も担っている。
- 3階
- 運動室、体技室
- 4階~7階
- 各教室および実験・実習室。チャイルドマン教室は4階、ウオール教室は5階にある。
- 8階
- 最高執行部の執務室や会議室。
入学
《塔》の入校は生徒が魔術士の血を引いている事が第一条件となる。そのため、親が《塔》の魔術士であれば強制的に入校を求められる。
昔は外部から女性を雇い「仕事として」魔術士の子を産んでもらい、その子を純粋培養するような事をしていたが、効率が悪い上に倫理的にも問題があるため現在はあまり行われていない。
最も多い入学者は魔術士の孤児である。事前に複数の孤児院と繋がりを持ち、可能な限り身元がはっきりしている子供をリストアップしている。その規模は大陸全土に及んでいるため、毎年送られてくる孤児は相当数に及んでいる。
孤児の入学者は助成金が支給されるが、特待生とそうでないのとでは金額に大きな違いがある。一般的に特待生でない孤児の入学者は助成金をケチられ、学業においても苦労させられている模様。
学校生活
カリキュラム
入校を果たした生徒は、まず「基礎クラス」と呼ばれる共通カリキュラムの教室に入る。年少の魔術士の卵たちは、ここで魔術や戦闘技術の基礎を叩き込まれる。その後、生徒の特性に合わせた専門クラスへと進級する。各教室にはそれぞれ一人の教師がつき、独自のカリキュラムを課している。学生がある一定以上の年齢になると専攻のテーマを与えられることになるが、飛び抜けて優秀な学生はそれより早く専攻を持つこともある。
任務
《牙の塔》には学費制度が無く、素質を認められた者ならば家庭環境・貧富を問わず誰でも学ぶことが許される。しかしその対価として、最高執行部から各教室に下る様々な「任務」の遂行命令には、必ず従わなければならない。下される任務の内容は、《塔》内の清掃から遺跡調査まで多岐にわたる。
進路
卒業後の進路は、そのまま《牙の塔》に従事する者や、私塾を開く者、魔術士同盟の職員になる者など様々である。特に優秀な生徒は、王都メベレンストの宮廷魔術士《十三使徒》に推挙されることがあり、生徒の多くは宮廷に仕官することを最上位の目標と定めている。しかし、育て上げた有力な魔術士が王都へ流出していくことに《塔》執行部はかねてより危機感を感じており、かつて《塔》のある生徒の入宮審問に際し、執行部が妨害工作を弄したこともある。
キエサルヒマ紛争後は宮廷魔術士が解体され、新たにトトカンタ魔術士同盟や新生《十三使徒》が設立されたり原大陸への航路が開かれる等、取り巻く環境や時代の変化に伴って進路も変わって来ている。
登録制度
《牙の塔》に入門せずとも、《塔》所属の魔術士として名義の登録を行なうことで、助成金が支払われる制度がある。
内部組織
最高執行部
《牙の塔》の中枢であり、《塔》の政治を執り行う最高執行機関。執行部のメンバーは長老(エルダー)と呼ばれ、黒のローブにグレーの上掛けを羽織る。その長い歴史の反動で現在硬直化が進んでいるため、現在の塔のあり方に疑問を持つ教師や生徒から反感を買っている。《塔》の長老のみを狙った連続殺人事件、「キリランシェロ事件」において、執行部の人員は一時的に5人を失った。
警備部
執行部に所属する《塔》の警備担当部署。警備員は全て訓練を受けた魔術士である。そのほとんどが学内職員だが、外部の魔術士を雇用することもある。
- ハウスペット
- 施設内の警備を担当。常勤は4人。
- ウォッチドッグ
- 《塔》の門番。100名以上の隊員が8時間交代で4チーム、ローテーションを組んで正門と城壁の外を巡回する。慢性的な人手不足に悩まされている。
その他の組織
関係者
教師
第四部
- フォルテ・パッキンガム
- レティシャ・マクレディ
- イザベラ・スィートハート
- ティフィス(教師補から昇格)
- プルートー(基礎クラスのみを担当)
元教師
- マリア・フウォン (現・《十三使徒》)
- チャイルドマン・パウダーフィールド (現・行方不明)
執行部
- その他