貴族内革命

貴族内革命（きぞくないかくめい）とは、およそ200年前のキエサルヒマ大陸で起きた貴族による政変である。

概要

かつてキエサルヒマ大陸には、ドラゴン種族の一つであるウィールド・ドラゴン種族（天人種族）によって統治される国家が築かれ、その頂点に君主たる王が君臨する王政が布かれていた。

約300年ほど前、人間種族が外洋からキエサルヒマ大陸に漂着した際、天人種族は彼らを慈愛を持って迎え入れ、共に生活を営み始めた。中でも取り分け天人の寵愛を受けた人間の家系は王族や貴族となり、特権を得た。

それからおよそ100年後、魔術士狩りの戦乱が収束を迎えた頃、衰退した天人種族は聖域に隠遁し、大陸からその姿を消した。残された王侯貴族たちは自ら天人の後継者を名乗り、人間種族が主体となる大陸の統治を宣言した。この宣言に従った市民らは旧王都アレンハタムを離れ、東部に新たな王都メベレンストを建造した（→メベレンスト遷都）。また同時に、王を盟主とする有力貴族の連合組織「貴族連盟」が設立された。

しかし、遷都から間もなくして、貴族連盟は形骸化した王家を打倒すべく反乱を起こし、政権の簒奪に及んだ。旧体制の象徴であった王家は滅ぼされ、キエサルヒマ大陸の統治権限である王権は貴族連盟に掌握された。惨劇の舞台となった王室にはおびただしい血が流れ、最後の王となった人物は裁判にかけられた末に八重殺の刑に処され、最後はさらし首にされたという。なお、この事件より以前に、「悪魔の王子」と仇名されたヒュキオエラに対して王女シビリアスと王室警護隊が起こしたクーデター事件があり、この革命の伏線となったとも言われている。

貴族連盟は加盟家の持ち回りによる連帯合議制政治を確立させ、現在まで続く新たな統治体制を作り上げた。王立治安構想によって大陸の支配を盤石なものにすると共に、全ての土地を解放し、居住する全人民に人権を与えた。

出典

• 『魔術士オーフェン・無謀編 顔を洗って出直しな！』